今と未来のプロジェクトストーリー未来編 「AI、機械学習の取り組み」

AIで、サービスをもっと新しく、面白く。―Xプロジェクト―

「僕たちの最終目的を実現するための、これは”仕込み”なんです―――」
お互いに口を揃えてこう話すのは、エプソンアヴァシスのイノベーション組織「Xプロジェクト」の3人のメンバー。
Xプロジェクトは、AIと機械学習を主軸として、エプソンアヴァシスからイノベーションを起こすことを目的として結成された組織だ。数々の案件のなかから、今回は、彼らが心を燃やしてリリースに携わったサービス「Mトレーサー」について振り返る。

[ Mトレーサー(エムトレ)とは ]
ゴルフクラブのグリップに取り付けたセンサーとスマホアプリを連携させて、自分のスイングを分析・評価できるコンシューマー向けサービス。エプソンアヴァシスでは、スイングデータを収集・分析し、アプリへ送信するためのシステム構築を担当。社内の他部署との共同案件として、9月リリースのバージョンアップをサポートした。
  • 橋詰 涼英

    サーバーサイドで、
    システムの構築を担当

  • 原田 愛

    これまでのデータを可視化し、スイングの
    評価基準や計算方法の改善を担当

  • 依田 剛

    Xプロジェクトメンバーの
    マネジメントを担当

ついに、力を試すときが来た。

依田

案件がスタートした当時はXプロジェクトの発足から4,5ヶ月くらいで、まだ実践経験がなかったんだよね。これまで積み重ねてきた知識を、実践の場で発揮したいと思っていたタイミングでいただいた話だった。

橋詰

みんな燃えてましたよね。僕は機械学習を応用していくことだけじゃなく、それをどうお客さんに届けるかを意識して仕事をしていたので、コンシューマー向けのこの案件はまさに、自分のやりたいことピッタリだったんです。

原田

わたしは産休に入ったメンバーの代打として途中から案件に参画したけど、参加前に外から見ていても、アツいなあ…と思ってました(笑)

立ちはだかったのは、実践の場ならではの壁。

依田

それまでひたすらデータ分析や機械学習の知見を深めてきた甲斐あって、この案件は技術面での大きな苦労はなかったんだよね。どちらかといえば2人とも、実践の場でしか体験し得ない苦労の方が大きかったんじゃないかな。

橋詰

そもそもゴルフをよく知らない、というところからでしたね(笑)

依田

そうそう、クラブの種類もたくさんあるし、専門用語も初耳だし。そのせいで、共同で進めていた他部署の方や、アプリの開発担当の方と認識が合わないことが多かったなあ。

原田

社内のゴルフ経験者にいろいろ教えてもらったよね。
どんな機能があったら嬉しいか、どういう評価がモチベーションにつながるのか、どんな練習をして上達していくのか、とか。社内に経験者がいたことはすごくありがたかったです。

橋詰

僕は、既に一度リリースされているサービスに新しい機能を組み込んでいくことの大変さを実感しました。厳密に0→1ではなく、1から0に戻してまた1にする、みたいなイメージで。もともと使ってくれていたユーザーさんをどうサポートするのか、もともとあったデータや機能はどうするのか……そういった既存システムの扱いについて自分の理解が追いつかないなかで、新しい機能の依頼にも対応するというのは、なかなか困難でした。その新しい機能の要件も、自分が解釈しきらない間に増えたり減ったり変化していくので……。

依田 原田

(本当によく頑張ったねという相槌と、労いの眼差し)

原田

わたしは、チーム外の方々とのコミュニケーションが大変だったという印象です。
わたしと橋詰さんは上田オフィス、依田さんとMトレの拠点が松本オフィスで、2拠点間でフラットに情報を共有するのが難しくて。そうこうしているうちにコロナの問題が出てきて、てんやわんやでした。

橋詰

そう 、いつの間にか松本の方で話がまとまっている、みたいな。コロナになってからはより一層、コミュニケーションツールで早めに連絡を取り合う、ということを徹底したよね。

原田

あとは「Mトレ朝会」も有効だったかも。Xプロジェクトのメンバー以外にも、案件に関わっている社員を交えて毎朝定例会をやっていたから、それで進捗のズレを最小限に抑えられたかなと思います。

依田

2人ともそれぞれ苦労があっただろうけど、特に原田さんの担当領域で、依頼や相談に対してスムーズに答えられる環境を用意できていたのは素晴らしい成果だったと思うよ。

橋詰

たしかに。1万スイング分くらいのデータを集めて、土台となるシステムを最初に作っておいたんだよね?

原田

そうです。だからなにか依頼があったときにも、すぐにデータを照合しながら「ここのデータが使えそうです」「こうしてみたらどうですか?」という提案ができたのは良かったですね。
今回の案件ではAIそのものは作っていないけど、AIを作るにあたって必要であろう、周辺のシステムの環境を整えられました。これで、Mトレに関する今後のアクションにも踏み出しやすくなったと思います。

依田

あとは、僕たちの圧倒的熱量(笑)

橋詰

他部署の方々にとっては「データ分析系の案件のひとつ」という感覚だったと思うけど、僕たちにとっては初めての試みだったし、チャンスでしたからね。やる気に満ち溢れすぎて、周りの方々を戸惑わせてしまったかもしれません……。

依田

僕たちのビジョンは、今回のリリース後もバージョンアップを重ねて、ユーザーさんにもっと価値ある情報を提供できるようになる、というところにあるからね。今後もこの熱量で、他部署のメンバーともアツい感じでやっていけたらいいよね。

初めての実戦経験を終えて、感じた手応え。

依田

無事にリリースを終えたときの率直な感想は?

橋詰

やりきった!という達成感と、これからへの不安が同時にありましたね。リリース後、実際にこれを使ったユーザーさんからどんな意見が上がってくるんだろうって。

依田

橋詰くんは辛辣なレビューを真に受けすぎないか心配だなあ。

橋詰

気をつけます(笑)レビューはプラスな意見、マイナスな意見どちらもあるんですけど、でもまず、Mトレがちゃんと人の手に渡ったんだという実感もあって、嬉しかったりします。
エンジニアって技術一辺倒なイメージを持たれがちだけど、僕としては技術を極めながら、最終的には使ってくれるユーザーさんがどう感じるか?ユーザーさんに良い体験をしてもらうにはどうしたらいいだろう?という部分も大切にしたいと思っているので。

原田

わたしはこの案件で、データを可視化するための技術や、自分が持っていなかったスキルを身につけられたことが成果でした。
入社年数が浅いこともあって、社外の人と関わりながら案件を進めていく経験がなかったんですけど、こういうところで認識がズレやすいんだな、ここで躓くこともあるんだな、というような気付きもたくさんあって。大変だったことも含めて、良い経験を積めたんじゃないかと思ってます。反省点もたくさんあるけど、それが次へのモチベーションにつながってる感じ。

依田

うんうん、僕もこの案件でメンバーにとって得るものがたくさんあったと思ってます。僕たちの目的である技術獲得に関しても達成できたかなと。橋詰くんはエプソンの中でもあまり使われていないような技術にチャレンジをしたし、原田さんは、スイングのデータを評価する人が判断を下しやすいように、見せるータを工夫して提供するとか、そういうところもできるようになったと思います。
なによりこの案件を通じて、自分たちは実践でもやれるんだ、という自信につながったことが嬉しい!

独自AI開発の野望。

橋詰

次に挑戦したいのはやっぱり、AI開発ですよね。独自に開発したAIをゴルフセンサーに搭載して、ユーザーさんの価値体験につながらせたいという思いがあります。ここで終わりじゃない!

原田

今度のバージョンアップは機械学習でやりたいな。

依田

うん、分析だけじゃなくてね。ここまでの苦労は独自AIを実現するための”仕込み”だから。

橋詰

仕込み、大変だったな〜(笑)

依田

今はグリップから読み取れるスイングのデータだけだけど、今後は飛距離とか、違うデータも集めたいよね。ゆくゆくはユーザーさんのスコアアップが、機械学習で達成できるようになるところまで実現させたい。

原田

テニスとか、他のスポーツにも応用していきたいです。

依田

AIを駆使してスポーツの上達をサポートすることが、僕たちのこの案件の最終目的。そのためにももっとスキルをつけていかなきゃ。

Xプロジェクト、どんなチーム?

依田

Xプロジェクトのメンバーはみんな優秀。橋詰くんはwebアプリケーション分野でアヴァシスNo.1を目指せると思ってるよ。普段からいろんなことにチャレンジする姿には、僕もいい影響を受けてる。できればこの先もいっしょに仕事をしていきたいなあ。

橋詰

(照)

依田

原田さんは成長スピードが恐ろしい。入社2年にしてエプソンの企画の人たち相手にちゃんとコミュニケーションができるし、データ分析も勉強をはじめてまだ1年経ってないのにこの成果。反省と成長のサイクルの速さに圧倒されます。

橋詰 原田

そうやってわたしたちを上手くコーチングできるのが、依田さんのすごいところですよね。

橋詰

良いところはすぐに褒めてくれて、人を大切にしていることが伝わってくる。メンバーも松本と上田でオフィスが分かれてるけど、それを感じさせないくらい仲良しなのは、依田さんのマネジメントの賜物だと思います。

原田

もちろん技術力もある。勉強も毎朝しているし、その知識欲とインプットの量はとても尊敬します。依田さんって非の打ち所がないですよね。

依田

素晴らしい評価をもらえて嬉しいよ。
でも、技術に対する意識の高さはみんなおなじだよね。橋詰くんは難しい資格も取得してるし、原田さんはKaggle*で積極的にアウトプットをしてる。
AIや機械学習は未知の領域だから何をやっても新しくて、どんどん新たなスキルが身に着く感覚が面白い。そういう興味でメンバーの知識習得が進む、頼もしいチームです。

*Kaggle
エンジニア向けのコンペ。さまざまな課題をAIで解決するアイデアを提案し、その精度の高さを競い合う。

取材時期:2020年10月